偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

そのとき、突然がさがさがさっ…という音とともに『……お客様っ!?』と叫ぶクラークの声が、心なしか遠ざかっていく気配がして……

『……山口か?おまえ、山口やろが。稍はどこや?おれの嫁をどこへ連れて行きやがった?』

代わりに、ドスの効いた関西弁の男の冷たく低い声が聞こえてきた。

「わっ、なんだ、君……僕は山口って人じゃないよ。ちょっと、ちょっと、落ち着いて……」

医者は稍にペットボトルのミネラルウォーターを飲まそうとしている山口を、ちらりと見た。

「ねぇ、君はもしかして……関西のヤ◯ザの情婦にでも手を出したの?」

山口は、はぁっ?という顔になる。

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