偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
Chapter3

♧招宴♧


ステーショナリーネットでの仕事も、(やや)は徐々に慣れていった。

最初は、新卒で入社した前職の証券会社しか知らなかったので、使いものにならなかったらどうしよう、と思っていたが杞憂に終わった。

相変わらず青山の要求は天井知らずでダメ出しの嵐だが、これも次の派遣先でのスキルにつながるかもしれない、と思って稍は耐えた。

おかげで稍が資料作成に携わったBun-Gooのプレゼンは無事通過し、掲載される運びとなった。

すると、ホッとする間もなく、青山が今度は商品化を目指す「ガチ」なプレゼン資料作成に「派遣」の稍も加わらせるとチーム内に宣言した。

異を唱える者は(山口であろうと)いなかったが、社外秘どころかライバルである他のチームにも知られたくない「社内秘」もてんこ盛りの業務なだけに、メンバーたちは驚きを隠せなかった。

稍の「正体」はバレていない。

お互い顔もしっかり定まらぬ小学生だったのだ。
そもそも、青山は稍の顔など覚えていないのかもしれない。

……とんだ自意識過剰女だったわぁー。

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