君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
咲いた紅色
──ミーンミンミン
遠くから蝉の声が聞こえて、教室から見上げる空は高く綺麗な入道雲が絵に描いたようにある。
梅雨も明け、二度目の生活にももう慣れた。
七月の後半、もうすぐ夏休みに入る。
「はい、じゃあ今日はここまで」
先生のその声と同時に四時間目の終わりを告げるチャイムが鳴って、生徒は自由に教室を動き回っている。
「那知、食べようぜ〜」
荷物を持って俺の席に集まる理久と、
「あれー那知、今日パンなの?」
日向と、逢。
前の世界と異なって、日向と逢は俺を“那知”と呼ぶようになった。
それはそれで嬉しいんだけど、やっぱり“なーくん”とはもう呼んでくれないのか、と少し落ち込んだ。