君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
これだけで、落ち着いてしまう。
「大丈夫、大丈夫…」
彼は私を諭すように優しい優しい声で呟く。
「なぁ、逢…?」
「…うん?」
誰かが開けたドアから生温い風と蝉の声が入る。
「恋愛ってさ、辛いことの方が多いし楽しいことばっかじゃねぇよ…」
「けどさ…けど、きっとその恋をするってこと自体が“幸せ”なんじゃないか、って最近思うよ」
那知の言葉は少し難しくて、全部は分からないけれど…
きっと那知は、恋の痛みも喜びもその“幸せ”も、それが出来ない悲しみも…知ってるんだろうな……
それで、それで…