君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


笑う彼をいつもの指定席に座って見つめる。

彼の指定席は私の、通路を挟んだ隣で。


この通路を、今日は何故か超えられなかった。


ズキズキと痛む胸を軽く叩いて、隣の那知を盗み見る。

綺麗な横顔…

ミルクティー色の髪が揺れて、チラリと見えた真っ黒なピアス。


「…ん?どした?」

私の視線に気付いて綺麗に微笑む那知に、「なんでもない」と慌てて目を背けた。

それで…

窓に反射して映った真っ赤な私の顔も、

考えればすぐに出てきそうなこの気持ちの名も…


臆病な私は、


気付かないフリをした。

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