君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
並ぶ背中のオレンジ
逢と裕也が付き合ったことは、すぐに広まったようだ。
それはもう光の速さのように。
夏休みが終わった始業式の朝、もうその噂で持ち切りなんだから。
…どこからそんな情報広まるんだ、早すぎだろ。
まぁ…なんたって高嶺の花のような逢と、男女ともに人気者の裕也だもんな。
…でも実際、それだけの理由でないことくらい、俺ももうわかっていた。
「ホントびっくりだよね、雪白さんと裕也くん……」
登校して来てすぐ、階段や廊下を歩いている俺を見ながら、
ひそひそと噂される二人の関係に、同情の眼差しが混じっているようで嫌気がさす。
「…ね、だって、みんな…雪白さんと付き合うのは────」
その先の言葉は、耳が受けつけなくて、聞こえなかった。
…というより、耳を塞いで聞かなかった、という方が正しいが。
教室につく時には、まだ一日は始まったばかりなのに、もうどっと疲れていて、椅子に倒れ込むように体をあずけた。
「朝からあの二人のことで話題持ち切りだなぁ…」
そんな俺に追い打ちをかけるように、そばによって呟く理久。
挨拶すらしないでその話題かよ……
俺の不機嫌な理由に気付いているからか、フッと笑って肩に手をのせる。