君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「…俺はやらないといけないことがあるんだ、理久…だから大丈夫、な?」
今度の“な?”には、彼は諦めたようで、ため息をつきながらやっぱり悲しそうに笑った。
「…あんま、抱え込みすぎんなよ」
軽く俺の背中を叩いて席へ戻っていく理久の後ろ姿は、どこか寂しそうで目線を下に落とした。
……ごめんな。
その言葉は声に出すことも無く、俺の中へ消え広がっていく。
足元をじっと見つめるとあの二人の顔が浮かぶ。
「……ふぅ…」
出そうになったため息や弱音、本音も全部飲み込んで、代わりに深く息を吐いた。
それに全部乗っかって、俺の中からいらない感情が出ていけばいいと思いながら。
いちいち、へこんでんなよ……俺。
俯いた自分に喝を入れて、上を向く口実に空を見た。
……もう、夏も終わるなぁ。