君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「おはよ、逢」
「おはよう、那知」
ほんとに何かあった?大丈夫?、と眉を下げる彼女が原因だとは、絶対に知られたくないし彼女は知らなくていいことだ。
「大丈夫だよ」
つい癖で頭を撫でそうになった手を不自然に止める。
「………どうしたの?……撫で、ないの?」
言ってて恥ずかしくなったのか、撫でて欲しい、みたいになったのが恥ずかしかったのか、逢は顔を赤くして俯いた。
「…あー、んと、もう、そういうの、ダメだろ」
“裕也と付き合ってんだし”
言わなかった。言えなかった。
…言いたく、なかった。
「……あ、、ん、そう、だよね。ひろくんの彼女だもんね…ごめん、変なこと言っちゃって」
それでも彼女は、その事実をはっきりと口にする。
まるで俺にそうであると教えてるみたいだ。