君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
雪が降る前に、逢と、話がしたい。
きっと、ひどく雪が降る頃には、俺はいないだろうから。
「じゃあ、またな、逢」
俺が降りるバス停に止まったバス。
「うん、またね」
小さく手を振る彼女に微笑んで、バスを降りる。
“今だけ、貸して”
あれから、もう数ヶ月。
明らかに、俺たちの距離感は離れた。
裕也と逢は、何事もなく順調に続いている。
裕也は、「友達の延長線のようでも、今は付き合えたことが幸せだから」と嬉しそうに笑っていた。
やっぱり良い奴だと思った。
俺とは違う、と。
幸せを、ちゃんと幸せだと気付いてる。
欲張ってそんなことにも気付けなかった、傲慢で、我儘な俺とは違うと。