君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
──夢を見た気がする。
ただそれだけで、内容は思い出せないのだけれど。
こんな経験を誰しも一度はしたことがあるだろう。
こんな日は、少しモヤモヤしてしまう。
そうやってそんな気持ちを抱えたまま朝の支度をする。
「いってきます」
母の声がリビングから聞こえて、次にドアの閉まることが鳴る。
いつものバスに乗ると、やっぱり変わらずそこには君が居た。
「おはよう、逢」
そう言いながら、通路を挟んで、隣の席に座る。
「…おはよ」
少し儚げな、いつもとは違う笑顔。
「……どした?、なんかあった?」
「ちょっとね…大丈夫。ありがと」
なんにも大丈夫に聞こえない。
久々に、そんな消えそうな彼女の笑顔を見た。
最近は楽しそうに笑ってたのに。
まだ、踏み込んじゃ行けないのかよ。
逢。