君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「…なんかあったら、いつでも言えよ」
そんな、彼女の気持ちが軽くなる訳でもない、軽々しい言葉しか、言えない。
「…ありがとう…那知、いつか、ちゃんと話すから」
いつか、じゃ、遅いのに。
俺はそのまま、何も言えずに、その日は過ぎていった。
オレンジ。
夕日と同じ色に包まれた教室。
もう、放課後なんて、早すぎやしないか。
教室には、もう誰も居ない。
今さっきまで、ここには女の子がひとりいて、告白されていたわけだけど。
裕也と逢が付き合い出してから、妙に俺に告白してくる子が増えた。
まぁ、理由は明白なのだから、妙という訳でもないが。
「……あ、…」
その理由のふたりが、窓から見えた。
壁に寄りかかって、彼らの背中をじっと見つめる。
ふたりの黒髪が、揺れる。
お似合いだなぁ……
純粋に、そう思った。