君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


「……となりに居たのは俺だったのに…」


開けた窓から入り込んだ秋風が、俺の髪と似た色のカーテンを揺らす。

きらきら夕日に光ったなびく髪が、見慣れているはずなのに、やけに眩しくて。


目をつぶった拍子に零れたもの。


それにはもう…

変な言い訳も、誤魔化すように拭うことも、隠すこともしなかった。


静かに、不規則に、こぼれ落ちる。


やまない雨はないように、ずっと晴れ続ける空もなくて。

この涙のように、ずっと続くものは限りなく少ないのだろうけど、俺のこの想いみたいに、きっと終わらないものもあるのだろう。


窓の外にふたつの長い影が揺れる。


校門を曲がって見えなくなった彼らのオレンジの背中は、眩しくて、切なくて、


気付けば頬は、濡れていた。

< 240 / 359 >

この作品をシェア

pagetop