君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
夜明けの紫
思えばあれは、必然だったのかもしれない。
───その時は、突然に。
【たすけて】
季節の変わり目によく風邪をひく子がいる。
逢もそういう子だった。
高熱で学校を休んだらしい(日向情報)彼女から、たった4文字…そうメッセージが届いたのは11月中旬、金曜日の放課後だった。
助けて、なんて簡単な漢字にも変換できないなんて、よっぽどの事かもしれない。
【待ってろ】
すぐにそれだけ送って、部活に行こうとしていた日向を呼び止める。
「日向!…逢んちの住所わかる?」
「え、うん…わかるけど……」
訝しげに見つめる彼女に事情を説明すると、納得したようにメモをくれた。
「よかった、年賀状送った時に聞いた住所メモってて」
「助かった、さんきゅ、心配だから急いで行ってみるわ。部活頑張れよ」
メモとカバンを手に階段をかけ下りる。
ターミナルに着いた時にちょうど来たバスに乗り込んで、地図アプリを開いた。