君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
プシューと間抜けな音を耳にしながら、バスを降りると、海風がふわりと寒さを連れてきた。
少し身震いして、地図アプリを頼りに彼女の家へ向かう。
「……ここ、か…?」
白くそびえ立つ洋風の家。
“雪白”
表札に書かれた苗字に確信して、インターホンを押す。
しばらく立ってゆっくりと開いたドア。
「………え、…なち…」
頬を真っ赤にさせて、とろんとした目で俺を見つめる。
「助けてっつうから来た。待ってろ、って言っただろ」
「……ほんとに、来てくれたんだ…」
「…!…っと、」
相当きついのか倒れそうになった彼女の体を咄嗟に支える。
あつ……
「…大丈夫かよ…って、大丈夫じゃないよな。ごめん…ちょっと我慢して…」
ふわりと抱えた彼女はだるんと項垂れて、本当に熱い。