君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


「…これ、何度あんの?」

「……わかん、ない…」


「とりあえず、家入るぞ?」

がらんとして、静まりかえった家。


「…家の人は?」

「……お父さん、出張…で、火曜まで、居ない」

まじか…


逢の父親には、前に一度だけあったことがある。
この子の葬式で、だが。


「逢の部屋、どこ?」

「ろうかの、突き当たり、ドア開いてるとこ」

閉めるのも、だるかったんだろう。

ドアが開きっぱなしの部屋に入る。


白で統一された綺麗な部屋だった。


逢らしいと思った。

そっとベッドに寝かせて、布団を着せる。

「ちょっと待ってろ、なんか頭冷やすやつ持ってくるから」

「……や、那知…ここに居て」

人は風邪をひいたら、心まで弱くなる生物だけれど、この子のそれは破壊力が半端じゃない。


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