君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


「………熱いだろう?冷やすの持ってくるだけだから。帰ったりしない、すぐ戻るよ」

汗で張り付いた前髪を撫でて、そのまま目を閉じさせた。


「…寝てろ、大丈夫だから」

「……うん…ありがと…」


弱弱しい逢の声に微笑んで部屋をでる。

…キッチンとかどこだ……


何気なく当てずっぽうで開けた部屋。

そこは何もないようで、何かが、ある部屋だった。


もう何年も使っていないような、寂しい部屋なのに、そこの真ん中にぽつんと置かれたそれだけは目を引くほど綺麗だった。


これは、多分、家族写真だ。


小さい頃の逢が、真ん中で笑っていて、その左隣には見覚えのある彼女の父親が写っている。


それで、多分…右隣にいる女の人は、逢の母親だ。


逢はやっぱり、父親に似ている。

それできっとこの何も無い部屋は、彼女の母親の部屋だったのかもしれない。

…もう、この家には居ないんだろうな。

家には居ない、自分の父親を思い出してハッとする。


俺何やってんだ、俺…人んちで。

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