君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
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「──那知、那知…起きて」
「…ん、…?」
まだ朧気な視界に飛び込んでくる逢の顔。
えっ、……あぁ……そうか。
あのまま…寝ちゃったのか……
体にはブランケットが掛けてあって、逢が起きた時に掛けてくれたのだろう。
「おはよう、那知」
体痛いでしょ?ごめんね。と彼女は申し訳なさそうに眉を下げる。
確かに、座ったままの体制で寝たからか、体も痛いし、制服には少しシワができている。
けれどそれはたった一瞬で消える痛みだ。
彼女が居なくなってしまった、あの時と比べたら全然…
あの時は、何より、もっと深く別のところがずっと傷んだけれど。
「大丈夫だよ。今、何時…?」
「…もう土曜日のお昼前」
「うそ、まじ?寝すぎた…」
うちは無断外泊とかそういうの気にしないほどの放任だから、心配かけてはないと思うけど。
…母さん、俺が部屋にいないことすら知らなそうだ。