君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


「……ひろくん…」

「うん、雪白、俺ね、ごめんじゃないもっと別の言葉が聞きたいな」


「……ありがとう…ひろくん」

噛み締めるように、小さく「うん」とだけ呟いた彼は、頬を淡く染めて、私の頭を軽く撫でる。

きゅぅ、とどこかが鳴って、喉が熱くなる。

……わたしが、泣くのは、違う……

「…雪白、好きだった。楽しかった。幸せだった。ありがとう」

めいっぱい、首を横に振る。

ありがとうは、私のセリフだ。


「…逢、って、最後に名前で呼ぶくらい、許してね…それで、俺も一回でいいから…名前で呼んでくれる?」

「…裕也……裕也、ありがとう…」


「俺の方こそ、ありがとう」


ひろくんは、こんなに優しくしてくれて、私を好きでいてくれてるのに…


諭すように私の手を優しく握って、目を見つめる。

「雪白、ちゃんと告っておいで……那知に」

「…うん……うん…っ、」

頷いた私に満足そうに笑った彼。



私は、那知を好きになってしまっただなんて。

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