君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「逢」
トク、トク、と一定のリズムで心臓は打つ。
白くて淡くピンクに染まる彼女の頬を撫でて、額をコツンと重ねた。
「俺も好き」
吸い込まれそうなほど真っ黒な瞳を見つめて、瞼に軽くキスをする。
「すげぇ好き」
今度は淡い紅色に染まっている頬に軽く口付ける。
「逢が、好きだよ」
そして、優しく、優しく重ね合わせた唇。
冬空の下ではやっぱり冷たくて、だけどきっと、世界中の誰よりも俺は今幸せだ。
ゆっくりと離した唇を彼女が幸せそうになぞっているから、可愛くて可愛くて痛いほどぎゅっと抱きしめた。
初めて、逢とキスをした。
嬉しいどころの騒ぎじゃない。
愛おしすぎて、仕方がない。
「…初めて、キスした」
耳元で聞こえる声。
「……え、まじ?」
俺の腕の中で小さく頷いて、彼女は優しく呟く。
「嬉しかった」
逢が俺の背中をぎゅっと握り返してくれるから、真冬だというのに、全然寒くなんてなかった。