君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


来た赤いバスに乗り込んで、いつも通りふたりの指定席に座ろうとしたが、今日はクリスマスということもあり、席は埋まっている。


辛うじてひとつ空いていたふたりがけの座席。

少しふたり見つめあって、逢が窓側へ座った。



恋人。


躊躇わずに、隣にいれる。

君への距離なんてほんのわずか1cmほど。


心臓の音が、聞こえてそうで、不意に不安になった。


前の世界で『逢は、俺のこと好き?』

そう聞いた2月14日。



俺と彼女が、恋人ではなくなった日。


< 293 / 359 >

この作品をシェア

pagetop