君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
暖房の効いたバスの中で、肩を寄せあって、寄り添って、
いつの間にか逢は眠っていた。
俺の肩に体をあずける彼女に、俺もそっと体を委ねる。
…こいつ、ほんとう可愛いなぁ。
マフラーにすっぽりと鼻まで埋めて、体は脱力して俺に全部預けているくせに、俺の手を握る力だけは弱めない。
この時間がずっと続けば、いいのになぁ……
願っても叶わないことくらいわかっている。
それでも願わずにはいられない。
時間よ、止まれ。
「……ん…」
身じろいだ逢にくすりと笑って、艶やかな黒髪を撫でる。
どうか、君の幸せが、止まりませんように。
彼女の寝顔が眠気を誘って、少しだけ目を閉じた。