君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。

冷えた頬に手を当てると、濡れていて。

泣いていたことがわかった。


高校生にもなって泣くとか…

グッと目元を拭ってバスを降りる。


「今日も、雪なんだな……」

終点のターミナル駅から繋がる歩道橋の上で、空を見上げて白い息を吐いた。


黒いマフラーを鼻まであげて、ポケットに手を突っ込む。

歩道橋の階段を降りて、俺は学校へ向かった。

道路のにはうっすら雪が積もっていて、足の指先が冷たい。

「……さむ…」


思わず零れた言葉は雪に吸い込まれて消えていった。
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