君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
学校の教室。
まだ朝の7時10分だ。
こんなに早く来たのには、わけがあった。
「那知、逢ちゃん、おはよう」
「理久、はよ」
2月14日。
黒板の日付にはそう書いてあり、その下に小さく誰が書いたのかは知らないが、“バレンタイン!!”と書いてある。
立ち上がった俺に、いきなり抱きついてきた理久は、優しい声でこう言った。
「また、サッカーやろうな」
それだけで、鼻がツンと痛んで、視界がぼやけた。
俺も、ずいぶんと涙もろくなってしまった。
「なちーー!!!」
いつでもバカっぽいその声と同時に、理久と抱き合っていた体に衝撃が走る。
「…日向」
「忘れないから、絶対…!!」