君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


名残惜しいけれどターミナルで、理久、日向、裕也と別れる。



赤いバスに乗り込んで、また逢と隣、手を繋いで座った。


母さんに今朝言った、泊まるというのは、逢の家だ。


「…わがまま、聞いてくれてありがとう」


俺の肩にちょこんと頭を乗せて、そう呟いた逢。


「…ん、大丈夫。俺も逢と居たかった」



『明日、お父さん帰ってこないんだって……泊まっていかない…?』


昨日、彼女から唐突に言われた。

きっとこれは、彼女の最後のわがままであり、俺のわがままでもあった。



逢の家に着き、通されるままに入る。


「おじゃまします…」


「ちょっと着替えるから待ってて。那知もリビングとかで着替えていいから」


そう言われ、リュックから部屋着を取り出す。

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