君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。




「 那知、泣いてるの…?」



初めて逢の家に行った、あの日の夜。

俺は頑なに、彼女に涙を見せなかった。


けれどもう、頬に伝うそれを、隠す余裕なんて、ない。



「やっと、見せてくれた…那知の涙は、やっぱり綺麗ね」



逢は俺の頬を両手で包み込み、頬を伝う涙にキスをした。


「……っ、、」

言葉が出ない。


いつからこんなに泣き虫になった?

いつからこんなにも弱くなった?


あぁ、それは、きっと全部君に出逢ってからだ。


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