君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。



「…ん、逢、おいで」


ぎゅっと、ぎゅうっと、確かめるように、彼女の華奢な体を抱きしめた。

小さくて、すっぽりと俺の胸に収まる。



こんな、小さかったっけ……



「……那知ぃ、…好き…っ」


うん、うん、俺も。


「…俺も、……すっげぇ好きだ…」


情けないほど震えているその声は、彼女には精一杯伝わったようで。

逢はもっと泣き始めた。



腕に力を入れて、痛いほど抱く。



彼女の泣き声が、俺の腕の中から聞こえて、胸が痛くなった。


「逢、幸せになれ」


「…うぅ〜、……んぅ」


涙でぐしゃぐしゃで、震えてきゅっと噛み締めた彼女の唇に、そっと唇を重ねる。


「……逢が、いちばん好き」


「………うん…、わたしも…那知がいちばんすき」



彼女の泣き笑いのような、屈折したような表情に、溢れた涙を拭う。



< 321 / 359 >

この作品をシェア

pagetop