君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「…毎年言ってるだろ?この人はお前の母さんじゃないよ。ほんと仕方ねぇなぁ」
呆れ半分、嬉しさ半分、笑いながら言う。
「おれと父さんも血は繋がってないけど親子だし、おれがこの人の事母さんだって思ってるからそれでいいの!」
寒さで鼻を真っ赤にして、頬を膨らませる息子のその言葉に、少し涙腺が緩む。
「……そうか、…」
そんな俺には気付かず、息子は“母さん”と呼んだ人へ、いろんな話を興奮気味に話していた。
「それでね!おれ、この前の試合でゴール決めたんだ!父さんと、理久と裕也がいっぱい練習付き合ってくれたんだよー!」
理久は、日向と結婚して、もう子供もいる。
裕也も大学で付き合い始めた彼女ともうすぐ結婚するんだって。今、すげぇ幸せそうだぞ。
たまに俺ん家に来ては、幸と遊んでいくんだ。
俺と、理久と裕也と幸と、サッカーボール蹴って追いかけて、やっぱサッカーは楽しいな。
君がこの世界からも居なくなって、抜け殻みたいだった俺を励まそうと、あの3人はずっとそばにいて笑っててくれた。
あいつらも、辛くないはずないのに。