君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。



墓石の前にしゃがんで、花束を君に贈る。


立っている息子と、しゃがんでいる俺とでは、少しだけ息子の方が目線は高い。


大きくなったなぁ、なんて感慨深くしみじみと見つめると、我が子と目が合って小さく笑う。


優しい風がどこからか吹いて、今では暗く元に戻った髪が、さらりと泳いだ。




あぁそうだ。


幸が、この前俺の高校時代の写真みてさ。

俺の真似して、高校に入ったら髪染めるなんて言い出したんだ。


父さんと同じ色がいい!、だってよ。


大人になって思ったんだけど、ミルクティー色はさすがに明るすぎるよな。




君は、綺麗だと言ってくれたけれど。



なぁ。





逢。


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