君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
記憶の中の桃色
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「那知ーーー!!」
ぼんやりとした意識の中、母さんの声がうっすらと聞こえる。
「起きなさーい!遅刻するわよー!」
ハッキリとしてくる視界と意識に、見えた何も変わらない天井。
いつものようにのっそりと起き上がり、窓を開ける。
「────は?」
サァっと吹き込んだ柔らかな風は、桃色の花弁を部屋に運んだ。
「……さ、くら…?」
ベッドの上にポツンと乗ったそれはどう見ても桜の花びら。