青春日和。
翌日
いつものように大智の家の前に立って名前を呼ぼうとしたら
今日は大智の方が先に出てきた。
『あ…おはよ。』
「おはよ。」
大智はジーッと顔を見つめてくる。
『な、なに…?』
「…寝癖、ついてる。」
『え、え、うそ?』
慌てるあたしに
「嘘やでー。」
と通り過ぎる大智。
『んもー。』
いつもの、朝だ。
大智はなにも聞いてこなかった。
学校へ向かう途中
電信柱の下に小さなダンボールを見つけた。
『ねぇあれなんだろ?』
あたしたちはその箱に近づいた。
中から声がする。
ニァー。
『わ、子猫だ!ね、大智!』
「まだ赤ちゃんやんこの子。」
大智は子猫を抱き上げた。
『そういえば大智、昔猫飼ってたよね。』
「あぁ、ハチやろ?中学の時までおったな。」
『そうそう、猫なのにハチって。おかしかった。笑』
「捨て猫か。こんなことするやつほんまにおるんやなー。」
『この子どうする?見捨てられないよ。』
「とりあえずここは危ないやろ。あっちの空き地の方に移動させよ。」
大智は猫を空き地の木の下に移動させた。
「いい子で待ってろよ。放課後迎えに来るから。」
『え?大智飼うの?』
「うん、うちはみんな猫好きやし。沙奈のお母さん猫アレルギーじゃなかったっけ?笑」
『よくご存知で…。笑』
大智は自分のブレザーを箱にかけた。
「学校行くぞ、沙奈。」
『あ、うん。』
猫にとっても優しい大智にちょっとだけドキッとした気がした。
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