青春日和。
第3話。
日曜日
ついにこの日がやってきてしまった。
3時に駅前の広場へ。
映画だけって思いながら一時間前まで迷って決めた服に身を包み、 髪も里菜ちゃんみたいなゆる巻きに。
あー何張り切ってるんだろう。
でも…幻滅されたくないしね。。。
「沙奈ちゃん!こっちこっち!」
笑顔で手を振る五十嵐くんは、スラリとした長身によく似合う私服がかっこよすぎてモデルさんかと思った。
『お、おまたせ。』
「…かっわいーー。可愛すぎて誰かと思ったよ。」
五十嵐くんはなんの恥じらいもなくそういうことを言うからほんとに照れる。
『あ、あたしも…今日の五十嵐くんカッコイイと…思…いました。』
「んは、なんで敬語?笑」
クスッと笑う五十嵐くん。
「行こっか。」
あれ、なんか変だ。
普通に五十嵐くんのことカッコイイと思ってるし、すごくドキドキしてる。
なに、これ…?
ー
それから映画を見て、パンケーキまでご馳走してもらっちゃって
「今日は本当に楽しかった。ありがとう。」
『そんな、お礼を言うのはこっちの方だよ。数学も教えてもらったし…あ、思い出した。嘘ついたでしょ、テスト受けてないってー。』
「あ、バレてた?ごめん。笑」
『でもいいや。私も楽しかったし。本当にありがとう。』
「家まで送るよ。」
『いや、ここでいいよ。本当に。』
その瞬間、家が向かいの大智にもし見られたら…と思ってしまった。
駅前まで歩いてきて立ち止まる。
「じゃあ、最後に。」
『ん?』
「握手。今日ありがとうっていう意味の。」
「…はい。」
手を差し出したその瞬間、五十嵐くんの腕の中に引き寄せられた。
『い、五十嵐…くん?』
「…。」
五十嵐くんは何も言わない。
ドキン
ドキン
心臓の音が聞こえそうだ。
離れようとしたら、唇を奪われた。
何が起こったのかわからない。
でも、2秒ほど触れたキスのせいで
顔が熱い。
あたしはどうしていいのかわからずに
その場から逃げるようにして離れた。
どうしてだろう
キスをした相手は五十嵐くんなのに
大智のことが
頭から離れない–−−
ー