輪廻ノ空-新選組異聞-
全部が輝いて見える。

昨日と同じ場所。

変わらない風景。

屯所も、皆も、空気も。

全部同じなのに、受け止める側の自分が変わったから?

わたしには、沖田さんがいる。

物凄く、強くなれた気がする。

でも…多分最大の弱点にもなった。

けれど、それだって自分次第なんだから。


身体を繋げる事が、こんなに大きな事だとは…全然思ってなかった。

友達が初体験を済ませても、こんな気持ちになったとは聞いたことがなかった。

でも…言葉には出来ないよね。

うん。



沖田さんを一番近くで見守ってきた近藤さんと、土方さんが…帰隊した沖田さんを見て、見た事もないような喜びの顔で。近藤さんなんか…涙ぐむ始末。

「多分一番私の事で責任を感じていたのは、自分の奥様が連れてきた下女のせいでって思っていた近藤さんなんです」

沖田さんは苦笑交じりに告げたけれど…。近藤さんは素直に、本当に心から嬉しかったのだと思う。

沖田さんは、今までだってとっても素晴らしい男性だった。でも…一回りも二回りも大きくなったと…わたしでさえ思うのだから。


「抜く事の大切さが分かっただろ」

土方さんがからかうように言ってきて。

「そういう言い方はよして下さい」

蘭丸だったから、生まれ変わりました。と、沖田さんはきっぱりと言ってくれた。

「成就、したな」

総司も、蘭も。と土方さんは顎を撫でながら言って。でも真面目な顔で…

「だからこそ、益々引き締めて過ごさねぇと駄目だ。何より、真の成就は、ずっと先にある。難関をいくつも越した先だ」

「はい」「はい」

わたしと沖田さんは揃って頷いた。

始まりの「成就」。それを噛みしめながら。
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