輪廻ノ空-新選組異聞-
にしても…、と伊木さんは改めて私の肩を叩いた。
「女装や言うだけやのに、肩までこないに小さくなるもんか?」
ギクッ。
肩のパッドは明らかにおかしかったので着けない方向に決まって、素の肩なんだけど…。
「えーと。肩がいかっていてはおなごに見えないからと、肩をつぼめて小さく保つコツを明里さんに特訓されたのです」
歌舞伎の女形を思い出して下さい、とわたしは自分も明里さんに言われた事を思い出して付け加えた。
「なるほどなぁ。色々大変そうやな」
「大変ですよ」
任務の為にはそんなこと言ってられませんし!と言えば、伊木さんも頷いた。
「蘭とふたり、しっかり連携もして、下手踏まんようせなあかんな」
夕餉は外のお店で食べることになった。
三月ともなると、流石に夜の寒さも少しは和らいで。そのせいか出歩く人も多くなっていて。特にメインの通りになる三条通は結構な人の流れ。
歩きにくい…。
小股になるし、いつもと勝手が違う。
「はぐれてまうで」
先に歩いていた伊木さんが、そんな私に気付いて引き返して来た。
「つかまっとき」
……。
ちょっと躊躇ったけど…。確かにはぐれそう。しかも今は夫婦。渋々手を伸ばす。
「…自分なぁ…」
呆れたように伊木さんが繋がった手を空いた手で指差す。
「これはないやろ」
屯所に連行されそうやわ、と小声で。
「わわ、すみません!」
わたしは掴んでいた伊木さんの手首を離した。
「そないに繋ぎたないか」
言いながら、伊木さんは手をちゃんと繋ぎ直した。
「女装や言うだけやのに、肩までこないに小さくなるもんか?」
ギクッ。
肩のパッドは明らかにおかしかったので着けない方向に決まって、素の肩なんだけど…。
「えーと。肩がいかっていてはおなごに見えないからと、肩をつぼめて小さく保つコツを明里さんに特訓されたのです」
歌舞伎の女形を思い出して下さい、とわたしは自分も明里さんに言われた事を思い出して付け加えた。
「なるほどなぁ。色々大変そうやな」
「大変ですよ」
任務の為にはそんなこと言ってられませんし!と言えば、伊木さんも頷いた。
「蘭とふたり、しっかり連携もして、下手踏まんようせなあかんな」
夕餉は外のお店で食べることになった。
三月ともなると、流石に夜の寒さも少しは和らいで。そのせいか出歩く人も多くなっていて。特にメインの通りになる三条通は結構な人の流れ。
歩きにくい…。
小股になるし、いつもと勝手が違う。
「はぐれてまうで」
先に歩いていた伊木さんが、そんな私に気付いて引き返して来た。
「つかまっとき」
……。
ちょっと躊躇ったけど…。確かにはぐれそう。しかも今は夫婦。渋々手を伸ばす。
「…自分なぁ…」
呆れたように伊木さんが繋がった手を空いた手で指差す。
「これはないやろ」
屯所に連行されそうやわ、と小声で。
「わわ、すみません!」
わたしは掴んでいた伊木さんの手首を離した。
「そないに繋ぎたないか」
言いながら、伊木さんは手をちゃんと繋ぎ直した。