輪廻ノ空-新選組異聞-
さあ、帰り道が一番危険。

かなり陽も傾いちゃったし。

わたしは再び楼門を潜って、四条通に出ると、今度は人通りのある四条通をそのまま西にあるいて四条橋を渡った。

四条河原の少し賑やかな木屋町通、先斗町界隈を人に紛れるようにして…まあ女の子が歩くには不適切な男性の町っぽいんだけど、そこを歩いているうちに、尾行してた人達をまくことに成功したみたい。

と、思ってたら……。

そうか。

彼らは、わたしが戻る場所を知ってる。

三条小橋池田屋。

新選組の密偵だと分かっているのだとすれば、屯所や各所に設けられた詰所に行く事も考えられるだろうけど、そちらに向かっていないのは、詰所も屯所も四条通より南側に位置するのに、北上している事から分かってしまっている。

だから…先回りか…!

尾行じゃなくて、先回り。

一町(約100メートル)ぐらい先に見え隠れして近づいてくる浪人姿。紛れも無くさっき尾行してきてた男だ。

どうしよう。

引き返すと益々怪しい。

新選組の密偵と認めるも同然だよね…。

歩調をゆるめて…殆ど立ち止まりかけた時、突然背後からガシッと肩をつかまれた。

し、しまった…!!!
< 136 / 297 >

この作品をシェア

pagetop