輪廻ノ空-新選組異聞-
身体を強張らせながらも、身構えて振り返る。
「大女やが、えらい別嬪さんやないか。座敷に行く途中か?地味な格好して。うちの座敷に呼んでもええか~」
単なる酔っ払い…!!
止まりそうになった心臓が、ちょっと落ち着いた。
「こ、困ります。芸妓ではありません」
「ほな舞妓か?歳くうてるようやが」
…!
失礼な!
失礼な事を言いつつ、益々、肩を抱くぐらいまで密着してきた男に、もう我慢ならなくて。体落としでもかけてやろうかと息を吸い込んで、体勢を作ろうとした瞬間。
「離してやってくんねぇかなぁ。こいつぁ、俺の女でさ」
なぁ、お蘭、と続いた言葉。そして向けられた笑み。
「伊庭様…!」
紛れもなく、僅か一刻程前にわかれたばかりの幕臣、伊庭八郎さんが立っていて、わたしの肩にかかった男の手を難なく掴んで離させてくれてた。
「大女やが、えらい別嬪さんやないか。座敷に行く途中か?地味な格好して。うちの座敷に呼んでもええか~」
単なる酔っ払い…!!
止まりそうになった心臓が、ちょっと落ち着いた。
「こ、困ります。芸妓ではありません」
「ほな舞妓か?歳くうてるようやが」
…!
失礼な!
失礼な事を言いつつ、益々、肩を抱くぐらいまで密着してきた男に、もう我慢ならなくて。体落としでもかけてやろうかと息を吸い込んで、体勢を作ろうとした瞬間。
「離してやってくんねぇかなぁ。こいつぁ、俺の女でさ」
なぁ、お蘭、と続いた言葉。そして向けられた笑み。
「伊庭様…!」
紛れもなく、僅か一刻程前にわかれたばかりの幕臣、伊庭八郎さんが立っていて、わたしの肩にかかった男の手を難なく掴んで離させてくれてた。