輪廻ノ空-新選組異聞-
笑みを浮かべてるのに、殺気のこもった鋭さは、わたしにもビリビリする程伝わってきて。この人が並ではない剣客だと分かった。
「ひっ、すんまへん!」
酔っ払いは慌てふためいて逃げて行った。
ホッと肩を落とす。
そして慌てて伊庭さんに向き直った。
「本日は二度までもお助け頂き、ありがとうございました」
深々と頭を下げた。
「いやいや。己から申し出て飛んで来たのさ。あんたの実家から」
間に合って良かったと安堵の笑みを浮かべたその男前な顔からは、すっかり殺気はなくて。で、益々混乱してしまうわたし。
「とにかくだ、池田屋にはさっき行ったばかりだ。店の奴も通さねぇ筈はねぇから、俺が行く」
八郎さんを捕らえにな、と続けた。
「!!??」
「あんたと別れて、まっすぐあんたの実家に行ったのさ」
そこで話に華を咲かせていたら、わたしからの密書が届いたのだと言う。
「丁度、池田屋には行ったばかり。八郎さんとも面識が出来ている。池田屋に穏便に入り込むにゃあ、俺程の適任はいるめぇさ」
と言うと、北に向かってゆっくり歩き出した。
「番頭さんと茶を飲んだ店。お蘭はそこに行く手筈だ。沖田さんも来る」
伊庭さんが連れ出した伊木さんを、外でお縄にすると言う。暴れなければ、騒ぎにもならず片付けられるだろうと、土方さんが沖田さんと山崎さんだけを連れてこちらに向かっていると伝えられ、沖田さんと聞いただけで、わたしは早くも胸が一杯で…。
たったの4日しか経ってなくて。しかも、この任務はどれだけ時を要するか分からない重さだったから、その覚悟はしていた筈なのに…。
「ひっ、すんまへん!」
酔っ払いは慌てふためいて逃げて行った。
ホッと肩を落とす。
そして慌てて伊庭さんに向き直った。
「本日は二度までもお助け頂き、ありがとうございました」
深々と頭を下げた。
「いやいや。己から申し出て飛んで来たのさ。あんたの実家から」
間に合って良かったと安堵の笑みを浮かべたその男前な顔からは、すっかり殺気はなくて。で、益々混乱してしまうわたし。
「とにかくだ、池田屋にはさっき行ったばかりだ。店の奴も通さねぇ筈はねぇから、俺が行く」
八郎さんを捕らえにな、と続けた。
「!!??」
「あんたと別れて、まっすぐあんたの実家に行ったのさ」
そこで話に華を咲かせていたら、わたしからの密書が届いたのだと言う。
「丁度、池田屋には行ったばかり。八郎さんとも面識が出来ている。池田屋に穏便に入り込むにゃあ、俺程の適任はいるめぇさ」
と言うと、北に向かってゆっくり歩き出した。
「番頭さんと茶を飲んだ店。お蘭はそこに行く手筈だ。沖田さんも来る」
伊庭さんが連れ出した伊木さんを、外でお縄にすると言う。暴れなければ、騒ぎにもならず片付けられるだろうと、土方さんが沖田さんと山崎さんだけを連れてこちらに向かっていると伝えられ、沖田さんと聞いただけで、わたしは早くも胸が一杯で…。
たったの4日しか経ってなくて。しかも、この任務はどれだけ時を要するか分からない重さだったから、その覚悟はしていた筈なのに…。