輪廻ノ空-新選組異聞-
…………。


……とくん



とくん、とくん


規則正しい鼓動。

暖かくて、

熱くて、

苦しいぐらい包み込まれて。

安心と癒しをくれる

沖田さんの腕の中。

鼓動が重なって

心地良い…。

背伸びをするぐらいしっかりと沖田さんの身体にしがみつくように抱きついて。

それを受け止めて、受け入れて、力強く抱きしめ返してくれる腕は、本当に心地よくていつまでもこのままでいたいと思ってしまう。



全てが終わって、検死と納棺、片付けも終わって、沖田さんに導かれて沖田さんの室にたどり着いた途端、ガタガタと全身が震えて止まらなくて。

沖田さんは自分の腕の中にわたしを閉じ込めるように、力一杯抱き寄せ、抱きしめ、包み込んでくれた。

泣きたい訳でも、吐く訳でもなくて、ただ、終えた役目の重さから解放されたせいか、震える体をどうにもおさえることが出来なかった。

それを、沖田さんが抱擁でおさえこんでくれたような感じ。

喉が詰まって、呼吸がヒューヒュー言うような…過呼吸みたいな症状は、初めて人を斬った時にあったのと同じ。でも、紙袋とかはないから、浅く吐くのを多くして、落ち着かせ、ようやく深呼吸が出来るようになって。

「落ち着きましたか?」

はい、と、わたしは無言で頷いて。

「ありがとうございます」

「いいえ。これぐらい…」

沖田さんは優しくわたしの背を叩いて。

「見事でした」

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