輪廻ノ空-新選組異聞-
「私は…良いのでしょうか…あなたを愛していても…」

負けているのに、資格はあるのだろうか…と続いた言葉に、私はついに、プチッと堪忍袋の緒が切れた。

「比べることじゃありません!!」

何ですか、勝ち負けって!!と声を荒げて。

「変な嫉妬してないで続きを読んで下さい!お説教はそれからです」

ちょっと唖然としたような沖田さんの顔を真面目に睨みつけた。

そしたら沖田さんは表情を改めて、怯む様子もなく、わたしの顔を見返してから、黙って文に視線を戻した。

「蘭と先生相惚れに候間、私議出る幕無しに候…」

けれど、最後に命を預けた自分の方がわたしとの繋がりは強くなったと。

わたしはハッとした。

沖田さんは、わたしと伊木さんのやり取りを「二人の」世界だと、そう言っていた。もし逆にわたしが沖田さんの立場だったら、仲間外れって感じたと思う。

「最後に」

と、続いた沖田さんの声に、考え事を中断して文に聞き入る。

多分蘭に口吸いの事を言ったと思うが、顔を近付けただけで、触れはしなかったと。

無防備なおなごに何かをする程、落ちた人間ではない。沖田先生も安心して下さいと書いてあった。

「彼岸での再会を約すべし」

そう締めくくられていた。
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