輪廻ノ空-新選組異聞-
翌日。

探索に出る為、人気の立ち始める昼前を見計らって屯所を出た。

前川邸の西側をはしる坊城通を真っ直ぐ北上すれば四条通に出る。

ひとり足早に坊城通から四条通に出た。

「おはようさん~」

「っ!!」

危うく声を上げそうになったけど、どうにか飲み込んだ。

「さっ、ささ…」

「才谷ぜよ」

坂本龍馬の姿に驚愕の余り、言葉がうまく出ないわたしに、坂本さんは変名らしい名字を告げた。

「さ、さいたにさん…」

いくら変名でも、こんなに堂々と壬生の入り口に…!!

「変わりはなさそうじゃのぅ。安心したぜよ」

わたしの姿を頭からつま先まで眺めた坂本さんは満足気に言って。

「おなごじゃのに、壬生狼ゆうがは、げにまっこと偽りやなかったんじゃのぅ」

びっくりして坂本さんの口を塞ぐ。

「ただでさえ隊内でおなご疑惑があるんだ、公道で適当な事を言うな!!」

「疑惑も何も…」

言いかけた坂本さんを引っ張って、四条通を渡りきり、更に北へと小道を北上しながら辺りの気配を探って、何もないのを確認してから、漸く引っ張る力を緩めた。

「才谷さん。あんたはわたしの裸を見た訳でもないのに、何で確信したように、おなごおなごと連呼するんだ」

「声が不自然ちゅうのもあるがじゃけんど…」

と言ってから、坂本さんは続けた。

「わしには、人の体の周りに光が見えるんじゃ」

頭はおかしゅうないぜよ、と念押しをして。

「はぁ…?」

「光の色やら、具合で色々分かるき、おんしは何を言おうとおなごなんじゃ」

オーラが見えるって事…?

坂本龍馬が霊能力…!?
某スピリチュアルカウンセラーさんみたいじゃない!!

何か怪しいけど…

いまいち信用ならない。

「それと…おんしは…信じられん事じゃが…」

こん時代とは違う所から来よったがかね?と続いた。
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