輪廻ノ空-新選組異聞-
長時間構えてても疲れない、なるべく軽い刀。
長さは…間合い取る事考えたら、やっぱり短か過ぎないもの。外で使うことになれば…やっぱり長目がいいのかなぁ…。

とか考えながら手にした刀がしっくり手に馴染む。

「これにします」

ちょっと振ってから決めた。

いい加減選び疲れてたってのもあるけど…出会った、という感じの刀だった。

「国清どすな。国清にしては小振りどすが…菊紋も彫られた業物どす」

にしても、と店主は付け加えた。

「沖田はんと同じ業物を選らばはるとは…」

「えっ?」

私はびっくりして思わず聞き返した。

「ご縁どすな」

店主の言葉に胸がときめいちゃうのは乙女心…?

「脇差も同じ国清で揃えときまっせ。で、拵えはどないしやはります。急ぎや言うことどしたな。持ち込まれた時のまんまの拵えやとすぐにお持ち出来ますえ」

じゃあ、それでお願いします、と一仕事終えた疲労感を感じ始めながら答えた。
溜息をつきながら、沖田さん戻ってこないかなーと、入口の方を向いて座って。時代劇の中に紛れ込んだような空間に見蕩れていると、沖田さんが駆け戻って来た。

「決まりましたか?」

私が店の奥には背を向けて座っているので、刀選びは終わったのだと思ったみたいで。

「国清どっせ。脇と合せてお代は…二十四両」

「え…。すみません、いつも安くして下さって」

24両か…。日本円で…って、ここも日本だけど…いくらぐらいなんだろう…。分からないけど…安くない事は当たり前だから……ちゃんと稼いで返さないと…。
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