輪廻ノ空-新選組異聞-
「そんなに俺や、総司は頼りねぇか」

と矢継ぎ早に言われて、ほっぺたをつねられたまま首を横に振った。

「ほ、ほんにゃほと、あひまひぇん」

そんなことありませんって言えない!ほっぺた痛いよ!

「土方さん!乱暴はよして下さい」

沖田さんも、ぼんやりかな、遅いよ…!

「っち」

土方さんはようやくほっぺたを解放してくれた。

「月のものでも来たか」

「月のもの?」

痛むほっぺたをさすりながら聞き返した。

きいたことあったような…。

「はっ」

アレだ!生理。

わたしは真っ赤になって顔を横にブンブン振った。

「いいえっ!!」

「違うのか」

土方さんは疑るように目を細めて。

「まさか、総司。おめぇ、孕ませたんじゃねぇだろうな」

ギャーッ!

何を言い出すんだ!!

「そ、そんなこと!…ありま…せん…よね?」

って!?

わたしに確認しないで!!

土方さんの呆れた視線が痛い…っ。

「こちらに来て以来、ずっと無いままです」

わたしは深呼吸して、逆に低く落ち着いた声色で答えた。

「そうか」

土方さんも納得したみたいに、いつも通りに戻って。

「と言うのは…まぁ、本題への前振りでな」

「「はぁ!?」」

わたしと沖田さんは同時に声をあげてた。

なんつー前振りだ!!

これ以上赤くなれない程真っ赤になった顔を、沖田さんとお互いに見合わせて。

「おめぇは…」

土方さんは構わず、わたしの方に手を伸べて、頭をポンポンと叩いた。

思わず、また抓られるのかと思って身構えたわたしに意外な言葉が降ってきた。

「偉い」
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