輪廻ノ空-新選組異聞-
「ち、ちょっと土方さん」

沖田さんがわたしの腕を引いて。

「私の蘭丸に気安く触ったり、苛めたりしないで下さい!!」

「私の蘭丸」!!

ほっぺたが、今度は嬉しさで熱くなる。

にしても…イジメ…か!!

「っち」

土方さんは又しても舌打をしてから、わたしのほっぺたを離した。

「とにかくだ、蘭」

と、執務絡みでは「須藤」と苗字を呼ぶのに、今は下の名前で。

「ただでさえそそっかしいんだ。ひとりで悩むな。身体のこともな。そんなずっと月のものがねぇなら、具合が悪いのかも知れねぇだろが」

「はい…」

土方さんの心配が、染み入る。

何でかな。

乱暴なだけに、優しくされると余計にありがたく感じるのかな…?

「で、おめぇの問いへの答えだ」

と、土方さんは真面目くさった顔でわたしを見てから、沖田さんにうなずいてみせて。

「んな、先の事なんざ、知りたくねぇに決まってんだろ。俺も、総司も、そして近藤さんもだ」

沖田さんを見たら、沖田さんも深々と頷いて。

「知る事が出来りゃあ、そりゃ楽さ。けどな、生きてる意味がねぇだろ?何があるかわからねぇから、沢山考えて、失敗重ねて、そこから、いっぺぇ学んで成長してく。魂を磨くために生まれてくるんだろうが。だから。絶対に先の事を言うな。俺らも聞きたいと思わねぇ」

……涙が、出そうになった。

強いのは土方さんや、沖田さん、近藤さんだ。

楽な道は選ばない。

こんなに…

こんなにも厳しくて、辛い時代の流れの中にあるのに…。

わたしだったら、全部じゃなくても、ちょっとヒントだけでも欲しいって思うよ。
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