輪廻ノ空-新選組異聞-
実戦に、慣れない刀を持つのは、どうかな…とも思った。

でも、実際にこの刀を振った沖田さんが絶賛したって事は、きっと大丈夫だと思う。

何より…お揃いの国清は私が守って、御祓いをした清光で頑張って貰えたら…という気持ちが湧いたんだ。

真っ白な練絹に包んで保管していた加洲清光を手に取り、沖田さんの所に向かった。



「え…?この清光を私に?」

自室で正に国清の手入れを終えたところだった沖田さんは、くわえていた懐紙を手に取りながら言って、目を見開いた。

「はい。わたしはご一緒出来ないので、沖田さんの助太刀も、お守りすることも出来ません」

だから、国清はわたしが屯所で沖田さんだと思ってお守りしたい。出陣には清光を持って行って下さいと、まっすぐに沖田さんを見つめて告げた。

「沖田さん。わたしは年表を持ってはいますが、何があった、としか書かれていないのです。そこで具体的に何が行われ、どういう流れでそうなったかは分からない」

だから…心配でならないんですと、わたしは必死な気持ちで言った。

自分の時代では神頼みなんてしたことなかったのに、神仏にご加護をお願いしてしまう程に、と付け加えたところで、沖田さんは、ふいと笑った。

「ありがとうございます」

言って、沖田さんは正座した膝の上に手を置いて、とても丁寧に頭を下げた。

「こんなにも深く、私なんかの身を案じてくれる人がいて…幸せです」
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