輪廻ノ空-新選組異聞-
壬生寺
台風一過の秋晴れ。
私は京都の壬生寺にいた。
ミブデラ
って読む。難しい。
「蘭子、父さんは挨拶回りがあるから、お前は先に会場となっとる壬生寺で待っておけ」
東京駅から新幹線に乗って、はるばる来た京都。
中学の修学旅行で奈良と京都だったから来たぐらい。ひとりほっぽり出されても、自由には動けない。
古武道サミット、とか言うのが催されるというので、色んな流派が集まって演武をするらしい。それにセンバツされてしまった……。
お父さんの書いた地図を頼りに辿り着いたミブデラの山門をくぐると、今日のサミットの下準備なのか、テントが張られたりはしているけど、殆ど誰もいない。
ど、どうなってんの?マジ?
「あのー…」
テントの下で長机を出しているオジサンに思い切って声をかけた。
開始は14時。
告げられて愕然。
「……はぁ」
まだ10時じゃん!馬鹿オヤジ!
時間つぶしに、来る時バスから見えていた河原町とかに遊びに出たいけど……稽古着にジャージ羽織っただけの格好でそれムリ!
ムリですから!
うな垂れながらも、顔を上げて寺の中を見渡す。
山門を入ってすぐ右側に見えていた真新しい建物に近づく。
何か見学出来る施設らしい。
でもこの格好…。
諦めて、本堂の建物の方へと歩いた。
暑くなってきているし、日陰を求めて。
焼けたらシミになっちゃうし。
階の所には先客がひとり。
袴も胴着も紺色の稽古着姿だ…!
興味津々。
男前とは言えないけど、目元の涼しい大学生…かな?
目が合った。
慌てて逸らそうとしたら、笑みこぼされた。
「…っ」
全身に力の抜けるような何かが走って………。
台風一過を感じさせる濡れた落ち葉が石段に積もってるな…
気をつけなきゃ、と思いながらも、力の抜けた足で踏んで。
世界が回った。
そして、落ちた。
私は京都の壬生寺にいた。
ミブデラ
って読む。難しい。
「蘭子、父さんは挨拶回りがあるから、お前は先に会場となっとる壬生寺で待っておけ」
東京駅から新幹線に乗って、はるばる来た京都。
中学の修学旅行で奈良と京都だったから来たぐらい。ひとりほっぽり出されても、自由には動けない。
古武道サミット、とか言うのが催されるというので、色んな流派が集まって演武をするらしい。それにセンバツされてしまった……。
お父さんの書いた地図を頼りに辿り着いたミブデラの山門をくぐると、今日のサミットの下準備なのか、テントが張られたりはしているけど、殆ど誰もいない。
ど、どうなってんの?マジ?
「あのー…」
テントの下で長机を出しているオジサンに思い切って声をかけた。
開始は14時。
告げられて愕然。
「……はぁ」
まだ10時じゃん!馬鹿オヤジ!
時間つぶしに、来る時バスから見えていた河原町とかに遊びに出たいけど……稽古着にジャージ羽織っただけの格好でそれムリ!
ムリですから!
うな垂れながらも、顔を上げて寺の中を見渡す。
山門を入ってすぐ右側に見えていた真新しい建物に近づく。
何か見学出来る施設らしい。
でもこの格好…。
諦めて、本堂の建物の方へと歩いた。
暑くなってきているし、日陰を求めて。
焼けたらシミになっちゃうし。
階の所には先客がひとり。
袴も胴着も紺色の稽古着姿だ…!
興味津々。
男前とは言えないけど、目元の涼しい大学生…かな?
目が合った。
慌てて逸らそうとしたら、笑みこぼされた。
「…っ」
全身に力の抜けるような何かが走って………。
台風一過を感じさせる濡れた落ち葉が石段に積もってるな…
気をつけなきゃ、と思いながらも、力の抜けた足で踏んで。
世界が回った。
そして、落ちた。