輪廻ノ空-新選組異聞-



陽が落ちて、各所に灯りを入れに回った。

届かない喧騒が、余計に不安を煽る。


沖田さんたち、どうしてるかな。

もう隊を分けてめぼしい所を当たり始めてるのかな。

会津や桑名の人達、軍を整えてくれたかな。


見えない状況が色んな心配を呼ぶんだ。

留守番はキツいよ。

でも、悪い知らせとかも入っては来ない。

山崎さんが探索に加え、兵力として出陣して行ったから、何かあればいつものように、街の会所の人とかを使いに飛ばしてくれる筈。



「須藤、門番の番だぞ」

「は、はい!!」

何刻たったのかな…

長い…。

わたしは返事をすると、大急ぎで長屋門に向かおうとして。


プツッ


「あわわっ」


転んだ。


下駄の鼻緒が切れてた。


途端に胸が真っ黒な不安で埋め尽くされて、じっとしていられない気持ちが溢れた。


下駄を脱ぎ捨てて、縁側に飛び上がって、急いで山南さんの所に行く。


行くと同時に、会所の役人さんが飛び込んで来た。


「池田屋にて戦闘が始まっとります。お味方が無勢どす。出陣出来る隊士はいたはりまへんか?おひとりでも助かる言うて、山崎さんが」


「須藤、参ります!!」


わたしは答えながら駆け出してた。
< 201 / 297 >

この作品をシェア

pagetop