輪廻ノ空-新選組異聞-
陽が落ちて、各所に灯りを入れに回った。
届かない喧騒が、余計に不安を煽る。
沖田さんたち、どうしてるかな。
もう隊を分けてめぼしい所を当たり始めてるのかな。
会津や桑名の人達、軍を整えてくれたかな。
見えない状況が色んな心配を呼ぶんだ。
留守番はキツいよ。
でも、悪い知らせとかも入っては来ない。
山崎さんが探索に加え、兵力として出陣して行ったから、何かあればいつものように、街の会所の人とかを使いに飛ばしてくれる筈。
「須藤、門番の番だぞ」
「は、はい!!」
何刻たったのかな…
長い…。
わたしは返事をすると、大急ぎで長屋門に向かおうとして。
プツッ
「あわわっ」
転んだ。
下駄の鼻緒が切れてた。
途端に胸が真っ黒な不安で埋め尽くされて、じっとしていられない気持ちが溢れた。
下駄を脱ぎ捨てて、縁側に飛び上がって、急いで山南さんの所に行く。
行くと同時に、会所の役人さんが飛び込んで来た。
「池田屋にて戦闘が始まっとります。お味方が無勢どす。出陣出来る隊士はいたはりまへんか?おひとりでも助かる言うて、山崎さんが」
「須藤、参ります!!」
わたしは答えながら駆け出してた。