輪廻ノ空-新選組異聞-
わたしは、どうにか少しでも柴さん本人に、潔白であることを伝えたくて。
柴さんに会わせて貰えないかと、会津の人に聞いた。
でも、沙汰待ちの謹慎中だからマカリナラン!!って怒られた。
土方さんも諦めろって言うし、会津の規律はかなり厳しいらしいのは、わたしも実感していたから…しぶしぶ玄関に戻り始めた。
「すまぬ、土方殿、須藤殿、待たれよ」
そこに声。
足早に駆けてきたお武家さん。
「何ですか」
と、土方さんが立ち止まったから、わたしも土方さんの背後に回って待った。
「柴司の兄でござる。此度は愚弟が迷惑をお掛け致し、誠に申し訳ない」
と、頭を下げた。
「何を申されますか。見事なもののふです」
土方さんも丁寧に答える。
「愚弟がそのお言葉を聞けば喜びます。是非直接言ってやって下され」
「えっ、会っても良いのですか?」
わたしは思わず土方さんの後ろから身を乗り出してた。
「須藤殿は先刻、弟に面会は可能かと尋ねてくれたでござろう?司も最後に礼を申したいとの事で許されたのだ」
「…っ!最後って…」
まだ沙汰待ちなのに、そんな事を…と、胸が痛くなった。
土方さんと二人、殺風景な座敷に通された。
そこで柴さんが静かな波のような笑みをたたえて、迎えてくれた。
「土方副長、此度は誠に申し訳ございません。多大な御迷惑をお掛け致し…」
「あー、いい。迷惑だなどと欠片も思っちゃいねぇからな」
土佐馬鹿どものやり口にゃあ、向かっ腹が立っちゃあいるけどな、と付け足して土方さんは真顔になった。
「何とか会津土佐のしこりにならねぇよう、俺も微力ながら動く。だから辛抱していてくれ」
口調相変わらず乱暴だけど、心のこもった言葉に、柴さんは深く頷いた。
「有り難き仕合わせ」
「それじゃあ、俺は先に帰隊する」
と土方さんはわたしの肩を叩いて。知己なんだろう、気兼ねなく話せと、呼び止める間もなく、柴さんのお兄さんと立ち去ってしまった。
柴さんに会わせて貰えないかと、会津の人に聞いた。
でも、沙汰待ちの謹慎中だからマカリナラン!!って怒られた。
土方さんも諦めろって言うし、会津の規律はかなり厳しいらしいのは、わたしも実感していたから…しぶしぶ玄関に戻り始めた。
「すまぬ、土方殿、須藤殿、待たれよ」
そこに声。
足早に駆けてきたお武家さん。
「何ですか」
と、土方さんが立ち止まったから、わたしも土方さんの背後に回って待った。
「柴司の兄でござる。此度は愚弟が迷惑をお掛け致し、誠に申し訳ない」
と、頭を下げた。
「何を申されますか。見事なもののふです」
土方さんも丁寧に答える。
「愚弟がそのお言葉を聞けば喜びます。是非直接言ってやって下され」
「えっ、会っても良いのですか?」
わたしは思わず土方さんの後ろから身を乗り出してた。
「須藤殿は先刻、弟に面会は可能かと尋ねてくれたでござろう?司も最後に礼を申したいとの事で許されたのだ」
「…っ!最後って…」
まだ沙汰待ちなのに、そんな事を…と、胸が痛くなった。
土方さんと二人、殺風景な座敷に通された。
そこで柴さんが静かな波のような笑みをたたえて、迎えてくれた。
「土方副長、此度は誠に申し訳ございません。多大な御迷惑をお掛け致し…」
「あー、いい。迷惑だなどと欠片も思っちゃいねぇからな」
土佐馬鹿どものやり口にゃあ、向かっ腹が立っちゃあいるけどな、と付け足して土方さんは真顔になった。
「何とか会津土佐のしこりにならねぇよう、俺も微力ながら動く。だから辛抱していてくれ」
口調相変わらず乱暴だけど、心のこもった言葉に、柴さんは深く頷いた。
「有り難き仕合わせ」
「それじゃあ、俺は先に帰隊する」
と土方さんはわたしの肩を叩いて。知己なんだろう、気兼ねなく話せと、呼び止める間もなく、柴さんのお兄さんと立ち去ってしまった。