輪廻ノ空-新選組異聞-
沖田さんの顔を見ると安心するんだ。

ホッとして。

一人じゃないって。

大切な人がいつも寄り添っていてくれる。

心にも、

体にも。


わたしは間近にある沖田さんの顔を見つめて心からの言葉を告げた。


「沖田さんがいてくれるだけでいいです」

愛しています。

いつだって愛しくてたまらない人です。

「蘭丸…」

「沖田さん、ずっと一緒にいましょうね」

「勿論です!!」

戦争が間近に迫っていて、これからも続いていく戦争、そしてわたしはいつここから消えるかわからない。お互いに命の保証はないけれど…(わたしはある程度死なないみたいだけど)

そんな前提はいらなくて。

「配属が変わったり、出張があったり…どんな時も心は一緒ですから」

わたしはまっすぐ言葉が届くように、まっすぐ沖田さんを見つめて言った。

「はい」

沖田さんの染み渡るような微笑みが愛しいよ。

そんな気持ちで沖田さんの顔を見つめたままでいると、沖田さんはふいと視線をずらした。

「……」

だいぶ躊躇してから、何かボソボソと何か言ってるみたい。

「沖田さん?」

顔を覗きこむと、沖田さんはあわてて顔を遠ざけた。

「…抱きたくなってしまいますから…!」

力のこもったような、ぶっきらぼうな言葉を認識した途端、わたしの顔に熱が駆け上がった。
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