輪廻ノ空-新選組異聞-
真っ赤になるほっぺたをどうしようもないまま、わたしは取り敢えず俯いて。

「…同じ気持ち、です」

と。

池田屋事件以来、柴さんの事件があったり、わたしは出張続きだったりしていて。ゆっくり過ごしてもいない。

だから…

触れ合いたいって思う。

肌を合わせたいって。

「っ」

火照るほっぺたを撫でられて、心臓が跳ねた。

「戦が終わったら、休みを貰ってゆっくり過ごしましょう」

ちょっと熱を帯びたような沖田さんの指先のぬくもりに、わたしは自分の手を重ねた。

「はい」

で、わたしは躊躇ったんだけど、思い切って言った。

「今は代わりに…その…深い口付けをしてくれませんか?」

「勿論です」

沖田さんは頷いて、わたしの顔をあおのかせると、ちょっと視線を合わせてから顔を近付けてきて…

「…っん」

ぐいっと背中に回った腕がわたしを強く抱き寄せて、いつになく…というか、こんなに強く抱き締められて、唇を合わせるのは…初めて…っ。

「っん、ぅっ」

激しく吸われる感覚に呼吸も思考も乱れた。

どうしちゃったの…!?

戸惑いがあふれて。

でも…嬉しくて、もっと、っていう気持ちもあって。

いつしかわたしからも激しく応えて、しがみついて、気付いたら押し倒された体勢になってた。

体中が熱くて、疼くみたいな感覚に襲われた。

でも、これ以上は…ダメなんだと…

「…っ、すみません」

言おうとしたら、沖田さんも同じように思ってたみたいで、体を離しながら言った。

「いいえ」

わたしは乱れる呼吸を整えながら、首を振った。

「屯所じゃなければ良かったですね」

思わず続けてた。
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