輪廻ノ空-新選組異聞-
花一輪
言葉も出なかった。
ただ、
呆然として立ち尽くしてた。
新選組の皆と。
見た事もない光景。
焼け野原。
京の町のほとんどが焼けてなくなってしまった。
新選組が布陣したのは、京の中心からは離れた九条河原。
会津藩の警備部隊の人達と一緒に。
大坂から伏見を経由して進軍してくる長州藩兵を食い止める為。
会津藩お預かりの新選組としては、勝手な行動は出来ない。けれど、戦の中心となるであろう場所から外されて、会津藩からの指示を待つだけの時間は異様に長かった。
戦は7月19日に始まった。
…みたい。
伝わってくる情報だけ。
見てもいないし、聞いてもいない。
でも苛立っている皆の中で、遠くから聞こえる大砲の音に気づいて、心臓が止まりそうになった。
砲撃の音は聞こえるのに、布陣しただけで出撃の気配も伝わってこないせいで、土方さんがついに怒りだした。
何のための布陣なのか。
指示を待つための布陣だったら必要ないと。
それで、伏見方面に出撃してみたけど、もう戦闘は終わっていて。
だから、御所に向かって、門の警備と戦闘に力を使ってもらおうって駆けつけてみれば…。
まだ燃え盛る火。
そして燃えてしまった町並みが目の前に広がってた。