輪廻ノ空-新選組異聞-
「芹沢局長。今宵は島原、おやめになってはいかがですか?明日は隊を挙げての宴会じゃありませんか」

沖田さんがにこやかに告げて、凍りついていた空気がゆるんだ。

「おお、そうであったな。毎日行ってもいっこうに構わんが…。今宵は止めとするか。明日には蘭の字とも呑めるのだしな」

余計なひとことを聞いて、がっくり肩を落としたい気持ちになったけど、とりあえず沖田さんの機転でその場はおさまり、無事巡察に。

ちょうどひと月前の八月十八日に御所で戦みたいな政変が起きて…教科書で読まされた所!八月十八日の政変っていうのが起きて、そこで新選組…当時はまだ壬生浪士隊って言ってたって事だけど、活躍をしたみたいで、幕府から私たちを雇ってくれてる会津藩を通じて報償まで貰って、新選組っていう名前も会津のお殿様から貰ったんだって。で、明日の九月十八日はそのお祝いの宴会。

気が重いな……。

なんて思いに浸ってる場合ではなく、巡察に集中!



「明日は少し呑んだら屯所に戻りましょう。あなたは私と違って酒に強そうだけれど」

私が八木さんっていう屯所としてお家の一部を貸してくれてる方の所でお風呂を使っている間、その扉の外で番をしてくれている沖田さんが低い声で言うのが聞こえた。

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